こんにちは、SKOOTA編集部のイ・ハナです。 2月6日から15日までの10日間、東京・渋谷の街がいつもとは少し違う、不思議な熱気に包まれていました。今回私が足を運んだのは、街全体を会場とした都市型ゲームフェス「SHIBUYA GAMES WEEK 2026」です。 特定の会場に閉じこもるのではなく、渋谷の街を歩きながらふとした瞬間にゲーム文化に出会う。そんな「日常と非日常の境界線」を巡る旅のような10日間を、私が見た景色とともに振り返ってみたいと思います。 📍 Spot 1:PARCO MUSEUM TOKYO「PARCO GAME CENTER」 渋谷駅から徒歩で約10分くらい。皆さんご存じの渋谷PARCOの4階にありました。PARCO GAMES公式サイトより引用。 まず最初に向かったのは、渋谷PARCOの4階にある「PARCO MUSEUM TOKYO」。ここでは『PARCO GAME CENTER』というイベントが開催されていました。 「レトロゲーム」をコンセプトにしながらも、単なる懐古趣味に留まらないのがPARCOらしいところ。ファッション、音楽、アート、映像……ゲームにまつわるあらゆる表現が混ざり合う、まさに「ゲームカルチャー」そのものを体現したような空間でした。 個性豊かなブランドが並ぶPARCOの中でも、ひときわ目を引く華やかなビジュアル。入り口の前に立つだけで、自然と中へ吸い込まれていくような、ワクワクするエネルギーに満ちていました。「ここにはきっと楽しいことが待っている」と直感させてくれる佇まいです。 少し低めの天井の入り口を抜けると、想像以上に広々とした空間が広がっていました。当日はあいにくの雨でしたが、会場内は多くの人で賑わい、その熱気で少し汗ばむほど。 入り口付近のレトロゲーム試遊コーナーから奥のポップアップストアまで、新旧の作品がずらりと並ぶ光景は、まるで「大人のための遊園地」に迷い込んだかのようでした。 展示されていたのは、私の世代よりも少し前の時代のポスターやグッズ。最初は「珍しいものに出会えた」くらいの気持ちでしかなかったのですが、パックマンやドラゴンクエストといった伝説的なタイトルが並ぶ景色を見ているうちに、不思議と胸が熱くなりました。知らないはずなのに懐かしい。馴染みがあるのにどこか新鮮。そんな、時代を超えた普遍的な魅力に目覚めた気がするひと時でした。 もちろん今を生きる私たち、インディゲーマーためのインディーゲームコーナーも充実していました。今年作られたばかりのミニゲームや、リリースを控えたタイトルの試遊台には、多くの家族連れが。 お父さんやお母さんの「思い出」に連れられてきた子供たちが、最新のインディーゲームに夢中になっている。異なる時代の産物が一つの空間に混ざり合いながら、全く違和感なく共存している様子が、とても印象的でした。 ちなみにこの『PARCO GAME CENTER』は来週の月曜、3月2日まで開催とのこと。ということは、まだいけてない方はおそらく今週末が訪問できるラストチャンスかもしれません。 もしこの機会で行ってみるぞ!と思った方はぜひ私の分まで楽しんできてください…! 📍 Spot 2:SHIBUYA STREAM HALL「神ゲー創造主エボ進化2025 x ゲームクリエイター甲子園2025」 PARCOの洗練されたアート空間を後にし、次に向かったのは「渋谷ストリームホール」。ここでは、未来のスタークリエイターたちが集結する『神ゲー創造主エボリューション2025 x ゲームクリエイター甲子園2025 合同発表展示会』が開催されていました。 PARCOが「ゲームの文化」を楽しむ場所だったなら、こちらは「ゲームが生まれるエネルギー」に直接触れられる場所。そんな熱気あふれる現場の様子をお届けします。 実は私、渋谷ストリームホールへ行くのは今回が初めて。少し迷ってしまったのですが、エスカレーターの前に大きな展示会の案内ディスプレイを見つけ、ホッと胸をなでおろしました。 驚いたのは、これほどの大規模な展示と試遊台が揃っているにもかかわらず、入場が「無料」だったこと。インディーゲームを愛する人なら、これだけで胸が躍るポイントではないでしょうか。 会場は3階構成になっていて、下の階は企業相談スペース、中層階と上層階は学生たちの作品展示がメイン。 特に中層階の密度は凄まじく、一歩進むのも一苦労なほどの人だかりでした。 一方で、最上階の発表ステージ付近は少しゆとりがあり、下でゲームをたっぷり遊んだ後に、ステージを眺めながら一息つく……といった、メリハリのある楽しみ方ができたのがとても良かったです。 今回試遊した中で特に印象に残ったのは、振り子の原理を応用して出口を目指すパズルゲームと、中学時代の失恋トラウマを乗り越えるというユニークなノベル+アーケードゲームでした。 何より驚いたのは、多くのタイトルが作品をちゃんと完成させているという点です。全員ではないにしろ、多くの学生たちが「ゲームをしっかり最後まで作る」という意識を持って制作に励んでいました。短時間のプレイでも着実な満足感を得られるよう設計されている点に、メンターの方々の教えや、彼ら自身の真摯な姿勢が透けて見えるようでした。
Games that Speak of Each “Soul” – Tokyo Game Show 2025 Indie Exploration Report [Part 2]
Now, with the excitement of the 【first part】 still fresh, the report continues into the 【second part】. I, Mob, will continue to talk about three shining gems that I found amidst the bustle of Makuhari Messe. In the 【first part】, I introduced works that evoke different philosophies: a Chinese game
独特な雰囲気を醸し出すミニマルなインディーゲーム 〜ゲームパビリオンjp 2025レポート〜【上編】
こんにちは、モブです。また記事を書くことになりました。普段はSKOOTAGAMESのネゴラブチームで日々、コツコツとUnityと格闘している者ですが、前回のTIGSレポートがあまりにも好評だったため、今回は大阪で開催された「ゲームパビリオンjp 2025」に足を運んできました。 定時退社を心がけている私がわざわざ出張してまでイベントに行くのは珍しいことですが…正直なところ、無料経費で新幹線に乗れるところが大きかったかもしれませんね。しかし、そんな軽い気持ちで訪れたイベントは、予想以上に多くの発見と刺激に満ちていました。 今回のレポートシリーズでは「まだまだ広がるインディーゲームの世界」をテーマに、三回に分けてお届けします。初めての大阪でのインディーゲームイベント参加は、これまで経験した東京のゲームイベントとはまったく違う空気感を味わうことができました。出展されているゲームも、既視感のある懐かしいテイストのものから、全く新しい感覚を呼び起こす作品まで、実に多様性に富んでいたのです。 第一回目の今回は、「独特な雰囲気を醸し出すミニマルなインディーゲーム」と題して、小さな規模ながらも深い没入感を提供してくれた二つのタイトルをご紹介します。 とかげメトロGB:懐かしさと新しさが融合する手のひら冒険譚 最初に紹介するのは『とかげメトロGB』です。メトロイドヴァニア形式の2D探索アクションゲームで、特筆すべきは携帯ハードで動作するという点。現場ではこの小さなデバイスを手に取り、懐かしさと新鮮さが入り混じる不思議な感覚とともにプレイしました。 緑色のトカゲを操って「コオロギの巣」を探索するというシンプルな設定ながら、わずか10分ほどのデモプレイの間にも、予想以上の奥行きを感じさせる内容でした。プレイ方法や操作は直感的で、少し触れるだけですぐに手に馴染む設計になっています。 探索型アドベンチャーゲームの醍醐味は、明確な道筋が示されない自由さにあります。このゲームも例外ではなく、洞窟内を自分の意志で歩き回りながら、思いがけない発見や制作者の仕掛けに出会う喜びに満ちていました。小さな画面の中に広がる世界は、その制約を逆手に取った工夫と創意に溢れていたのです。 ゲーム内の細部には遊び心が散りばめられていました。全体としては巣を探検し、敵を倒して新能力を解放していくオーソドックスな流れですが、随所に小さな驚き要素が用意されています。 特に印象的だったのは、ゲーム内に登場する通信機のような装置。セーブポイントとしての機能だけでなく、主人公のスキンを変更できる機能も備えていたので、初期状態の緑色から、赤色の「アタックとかげ」や金属質感の「きんぞくとかげ」に姿を変えることができました。 たかが爪ほどのドット絵が変わっただけなのに、それがもたらす満足感はなかなか。この手の小さいゲームのカスタマイズ要素といえば、せいぜいプレイヤーの名前を入力する程度しか思い浮かばなかった自分にとって、この小さな工夫は割と衝撃でした。 マップには隠しエリアも点在していて、制限時間内に見つけられたのはたった2か所。「もっとあるはず」という探索欲を刺激してくれる設計も秀逸でした。次にプレイする機会があれば、もっと丹念に探してみたいと思います。 制作者のaze3さんは、本業ではゲーム業界のデザイナーとして活躍されているそうで、このゲームは趣味で制作しているとのこと。プロの技術と個人の情熱が融合した結果なのか、小さなスケールながらも隅々まで行き届いた繊細さを感じる作品でした。 指先に残る携帯ハードのボタンの感触と、液晶画面のうっすらとしたディスプレイまで。それらの懐かしさと、現代のゲームデザインセンスが不思議と調和した体験は、しばらく忘れられそうにありません。 帰路:静寂と思考が織りなす旅 次に紹介するの『帰路』です。独特の雰囲気が特徴的な2Dドットイラストのパズルゲームで、四角形のタイルで構成されたマップ上に、特定の形をしたパネルを置くことで道をつないでいくという、シンプルでありながら決して容易ではない構造のパズルゲームでした。 一つ特筆すべきは、単に道を見つけることがこのゲームの目的ではないということです。より正確には「正しい道」を見つけなければならないのです。主人公の少女は常に目的地に最も近いルートでタイル上を歩いていくため、間違った目的地を避けたり、仲間のカラスを連れて行ったりするなど、一見単純な構造でも、それ以上の目的意識を持ってプレイしなければならないゲームでした。 今回のイベントでプレイしたゲームの中で、最も頭を使わされたタイトルだったように思います。単に空いている場所にパネルを置けば道ができるわけではなく、パネルを置いた場所が空のタイルなら新たにタイルが生成され、元々タイルがあった場所なら消えるという仕組みのため、単純にタイルを埋めていく発想ではカバーできない難しさがありました。 ようやく慣れてきたかと思った矢先、ゴールに直進せずに仲間のカラスを連れていかなければならないという要素が加わり、さらに難しい状況に直面することになりました。なんとかタイルを置いたりリセットしたりしながら最後までプレイできましたが、後ろに誰か待っているかもしれないという焦りで手に汗を握りながらプレイしていました。 いつも思うことですが、このようなイベントでプレイするパズルゲームは、後ろに誰か立っているかもしれないプレッシャーと向き合いながらしなければならないんですよね。ただ、それゆえに成功した時に感じる達成感がとんでもなく大きいので嫌ながらもプレイしてしまうと。一度プレイしようと決心するのは難しいかもしれませんが、実際にプレイしてみると楽しい記憶として残るわけです。 ゲーム性ももちろんですが、先ほども言った通り雰囲気が素晴らしいゲームでした。特徴的なドットイラストも目を引く魅力があっただけでなく、控えめで静かな雰囲気のBGMと微かに聞こえてくる効果音が、パズルに頭を悩ませている最中でも思わず感嘆せずにはいられなかった要素でしたね。 カラスのギミックが加わった後の話になりますが、カラスを連れて目的地に向かう際、頭の上にカラスが止まるという細かいけれど可愛らしいポイントもありました。ストーリーも、もしかしたらのネタバレを避けるため詳しくは話せませんが、「この先に何が待っているのだろう」という想像を掻き立てるには十分だったように感じます。 久しぶりにパズルとストーリー、そして世界観という三拍子が揃い、期待を抱かせるタイトルと出会えたという点で、今回のイベントは十分な意義があったと感じられる、そんな貴重な出会いでした。 このようなパズルゲームの制作者に会うと必ず聞きたくなる質問があります。「こういったパズルはいつ、どうやったら思いつくのですか」という定番のクエスチョンです。ただ今回は珍しく、他の要素でお話しすることに時間を費やしてしまい、この質問を投げかける余裕がありませんでした。もし他のイベントで出会う機会があれば、ぜひ一度プレイしてみることをお勧めします。難しすぎる場合は、制作者さんが親切にヒントをくださるので、遠慮なく聞いてみてください。 小さくても深い体験を提供する力 今回紹介した『とかげメトロGB』と『帰路』、この二つのゲームに共通するのは、一見するとシンプルでミニマルなデザインでありながら、プレイヤーを独自の世界観へと引き込む力強さです。 携帯ハードという限られたハードウェアで表現された小さなトカゲの冒険も、静謐な雰囲気の中で展開される論理的なパズルの旅も、どちらも「小ささ」を武器に、むしろその制約の中で創意工夫を凝らした作品と言えるでしょう。 しかも驚くべきことに、これらはいずれも少人数、あるいは個人で開発されたものでした。大規模なチームや莫大な予算がなくとも、明確なビジョンと情熱があれば、プレイヤーの心に残る体験を作り出せることを、改めて教えてくれたタイトルだったと思います。 インディーゲームの魅力とは、まさにこういった「小さくても深い」体験にあるのかもしれません。大阪で出会ったこれらのゲームは、インディーシーンの多様性と可能性を再認識させてくれる、貴重な出会いでした。 次回は「独特なコンセプトで武装した、一方で闇を感じるインディーゲーム」と題して、斬新かつ大胆な発想で驚かされる作品たちをレポートします。お楽しみに。
